人口は減っていない。
子どもだけが減っている。

富谷市の総人口は、この4年で9人しか動いていません。その同じ4年で、15歳未満は866人減り、65歳以上は821人増えました。市が公表する行政区ごとの年齢別人口を、通学区域の規則に突き合わせて小学校区ごとに数え直したところ、1学年あたり11人の学区と126人の学区が、同じ市のなかにありました。

市・県の公表値から集計
  • 15歳未満7,334人

    4年で866人減(−10.6%)。同じ4年の総人口の増減は−9人

  • 0〜4歳を5で割ると384人

    1学年あたり。10〜14歳は601人、5〜9歳は482人

  • 幼稚園の在園者414人

    平成29年は1,038人。8年で6割減り、園も5から4へ

  • 民営保育所等の収容率102.0%

    定員705人に対して719人。定員を超えている

4年で何が起きたか

総人口は動いていない。中身が入れ替わった

富谷市は毎年12月31日現在の人口を、行政区ごと・5歳階級ごとに公表しています。令和3年と令和7年の2冊を並べると、総人口がほとんど動かないまま、年齢の構成だけが入れ替わっていることが分かります。

表は横にスクロールできます。

区分令和3年12月31日令和7年12月31日増減
総人口 52,494 52,485 −9
世帯数 19,927 20,947 +1,020
0〜4歳 1,976 1,918 −58
5〜9歳 2,802 2,411 −391
10〜14歳 3,422 3,005 −417
15歳未満(合計) 8,200 7,334 −866
65歳以上 11,397 12,218 +821

1世帯当たりの人員は2.634人から2.506人へ縮みました。世帯だけが1,020増えています。令和7年国勢調査の速報値でも、富谷市の人口は令和2年から78人増にとどまる一方、世帯は1,042増えています。

子どもが866人減り、高齢者が821人増えた。ほぼ同じ数です。総人口が動かないのは、この2つが打ち消し合っているからでした。

第3次富谷市人口ビジョンも同じことを書いています。年少人口は平成27(2015)年の9,625人をピークに減少に転じ、令和2(2020)年に老年人口が年少人口を上回りました。老年人口は令和6(2024)年に11,994人でピークを迎えています。

割り算すると

1学年あたりは、601人・482人・384人の階段になっている

5歳階級の人数を5で割ると、その年代の「1学年あたり何人か」が出ます。富谷ではこれがきれいな下り階段になっていました。

1学年あたりの子どもの数

1学年あたりの子どもの数の棒グラフ。10〜14歳は601人、5〜9歳は482人、0〜4歳は384人
富谷市「行政区毎年齢別人口(5歳階級別)」令和7年12月31日現在から算出/制作:富谷トム

いま中学校に通っている世代は1学年およそ600人。小学校に通っている世代は480人。これから小学校に入る世代は380人です。いまの小学1年生は507人(令和6年5月1日)ですから、そこからさらに1学年で120人ほど細くなる計算になります。

0〜4歳には、これから生まれる子は含まれません。転入・転出も織り込んでいない、単純な割り算です。

8年の実績

小学校は833人減った。中学校はまだ139人しか減っていない

実際の学校の数字も、同じ順番で動いています。減少の波は、まだ小学校の段階にとどまっています。

表は横にスクロールできます。

区分施設数学級数在籍者(平成29年)在籍者(令和6年)増減
幼稚園 5園→4園 40→20 1,038 414 −624(−60.1%)
小学校 8校→8校 147→134 4,073 3,240 −833(−20.5%)
中学校 5校→5校 73→74 2,107 1,968 −139(−6.6%)

各年5月1日現在。資料:宮城県企画部統計課「学校基本調査結果報告書」および富谷市学校教育課(「データで見る富谷」第13章)。幼稚園の4園には私立を含みます。このうち公立は富谷幼稚園ひとつだけで、その1園がいま民営化されようとしています。

小学校の学級数は147から134に減りましたが、教員数は213人のまま変わっていません。児童が833人減るあいだに、特別支援学級は21から23に増えました。中学校でも特別支援学級は11から14に増えています。学級数だけを見て学校が縮んだと読むと、実態を取り違えます。

学区ごとに数え直した

1学年11人の学区と、126人の学区が、同じ市にある

ここからが本題です。市が公表しているのは行政区ごとの年齢別人口で、学区ごとの集計は公表されていません。そこで、富谷市立小学校及び中学校の通学区域に関する規則の別表と71の行政区を突き合わせ、小学校区ごとに0〜4歳を足し上げました。

小学校区ごとの、1学年あたり

小学校区ごとの1学年あたりの人数の棒グラフ。東向陽台小学校区が126人で最多、成田小学校区が11人で最少
富谷市「行政区毎年齢別人口」令和7年12月31日現在と通学区域の規則から集計/制作:富谷トム

表は横にスクロールできます。

小学校区0〜4歳1学年あたり6学年分いまの児童数差
東向陽台小 631 126人 757 619 +138
明石台小 273 55人 328 364 −36
富谷小 272 54人 326 475 −149
富ケ丘小 224 45人 269 470 −201
あけの平小 155 31人 186 339 −153
日吉台小 146 29人 175 476 −301
成田東小 145 29人 174 235 −61
成田小 57 11人 68 262 −194
8校の合計 1,903 381人 2,283 3,240 −957

「6学年分」は、いまの0〜4歳がそのまま同じ学区に住み続け、転入も転出もないと仮定した場合の児童数です。市の推計ではなく、単純な掛け算です。実際には新しい分譲地ができれば数字は変わります。いまの児童数は令和6年5月1日現在。

成田小学校区の0〜4歳は57人。5学年あわせて57人です。1学年あたり11人。いま成田小学校には262人が通っていますが、この世代がすべて入学するころには、単純計算で70人前後になります。

反対に東向陽台小学校区の0〜4歳は631人。1学年126人で、いまの619人よりも増えます。同じ市のなかで、11倍の開きがあります。

校舎の広さと重ねる

いちばん狭い学校に、いちばん多くの子どもが向かっている

「データで見る富谷」には、小学校ごとの校舎面積も載っています。児童1人当たりに直すと、学校のあいだの差がもう一段はっきりします。

表は横にスクロールできます。

小学校児童数校舎面積1人当たり学区の0〜4歳
東向陽台小 619 4,956㎡ 8.0㎡ 631
日吉台小 476 4,147㎡ 8.7㎡ 146
富谷小 475 4,746㎡ 10.0㎡ 272
富ケ丘小 470 6,013㎡ 12.8㎡ 224
明石台小 364 5,230㎡ 14.4㎡ 273
あけの平小 339 4,935㎡ 14.6㎡ 155
成田小 262 3,999㎡ 15.3㎡ 57
成田東小 235 5,037㎡ 21.4㎡ 145

校舎面積は令和6年5月1日現在。屋内運動場は含みません。資料:「データで見る富谷」第13章。

児童1人当たりの校舎面積は、成田東小学校が21.4㎡で最も広く、東向陽台小学校が8.0㎡で最も狭い。2.7倍の差があります。そして0〜4歳がいちばん多いのも、東向陽台小学校区(631人)でした。

どこに住んでいるか

就学前の子どもの35%が、3つの行政区に住んでいる

0〜4歳の1,918人を行政区ごとに並べると、集中の度合いが極端です。

0〜4歳が多い行政区(令和7年12月31日)

  • 明石台十丁目総人口1,231人 294人
  • 明石台九丁目総人口1,403人 203人
  • 明石台八丁目総人口839人 175人
  • ひより台二丁目総人口1,175人 72人
  • 成田四丁目18〜28番地総人口860人 53人
  • 富ケ丘南部(二丁目)総人口1,383人 48人
富谷市「行政区毎年齢別人口(5歳階級別)」令和7年12月31日現在から作成

明石台の八・九・十丁目の3つの行政区だけで、0〜4歳が672人。市全体1,918人の35.0%です。この3区の総人口は3,473人で、市全体の6.6%にすぎません。明石台十丁目に至っては、住民1,231人のうち294人(23.9%)が4歳以下です。

反対に、0〜4歳がひとりもいない行政区が10あります。一ノ関、二ノ関、穀田、大童、今泉、大亀、石積、西成田の8つは、いずれも市の北部から東部にかけての農村部で、住民は70人から250人ほど。残る2つ(成田第三の九丁目全域、成田第二の一丁目5〜8番地)は、そもそも住民が12人と23人しかいない小さな区域です。

この明石台八丁目と十丁目は、通学区域の規則では明石台小学校ではなく東向陽台小学校の学区です。東向陽台小学校区の0〜4歳が631人と突出しているのは、この2つの新しい丁目が入っているためでした。

預け先の逆転

幼稚園は6割減り、保育所は定員を超えた

幼稚園の在園者は、平成29年の1,038人から令和6年は414人へ、8年で約6割減りました。ところが同じ8年で、保育所・認定こども園に通う子は865人から992人に増えています。

預け先が入れ替わった

幼稚園の在園者は1,038人から414人へ、保育所・認定こども園は865人から992人へ
宮城県「学校基本調査結果報告書」と富谷市子育て支援課(「データで見る富谷」第13章・第10章)から集計/制作:富谷トム

表は横にスクロールできます。

年幼稚園の在園者市営保育所民営保育所・認定こども園民営の収容率就園率
平成29年 1,038 274 591 91.6% 61.6%
平成30年 986 255 622 91.7% 60.2%
令和元年 927 266 601 97.6% 63.0%
令和2年 826 268 639 99.5% 57.0%
令和3年 726 269 647 99.7% 59.7%
令和4年 628 258 656 98.9% 52.7%
令和5年 527 262 684 101.0% 49.9%
令和6年 414 273 719 102.0% 45.2%

幼稚園は各年5月1日、保育所は各年4月1日現在。「就園率」は県の学校基本調査による、その年齢の子どものうち幼稚園に通う子の割合です。収容率は入所児童数÷収容定員。

この2つの列は、別々の調査です。幼稚園の数字は宮城県の学校基本調査によるもので、幼保連携型の認定こども園は別に調べられるため含まれません。保育所・認定こども園の数字は富谷市子育て支援課によるものです。調査主体も対象も違うので、2つを足して「市内の就学前の子の総数」とすることはできません。ここで読み取れるのは、それぞれの側がどちらへ動いているかという方向だけです。

3歳以上だけで並べると、いつ入れ替わったかも見えます。幼稚園の在園者(3〜5歳)と、保育所の「3歳以上」を突き合わせると、令和5年に保育のほうが多くなりました(幼稚園527人/保育545人)。0〜2歳を含めた総数では、令和2年に前後しています。上に書いたとおり別々の調査なので、この年が正確な分岐点だとまでは言えません。それでも2つの線が逆向きに動き、どこかで交わったことは、どちらの表からも読めます。

幼稚園に通う子の割合を示す就園率も、61.6%から45.2%へ落ちました。子どもが減っただけではなく、行き先が幼稚園から保育へ移っているということです。共働きが増えれば、教育時間だけの幼稚園より、長時間預かる保育所や認定こども園が選ばれます。世帯人員が2.6人から2.5人へ縮み、世帯だけが1,020増えているのも、同じ方向を指しています。

誰が受けているか

増えた分は、すべて民営が受けている

預け先の内訳を、公と民に分けて見ます。

市営保育所(各年4月1日)
  • 施設数4か所 → 4か所
  • 収容定員320人 → 320人
  • 入所児童274人 → 273人
  • 収容率85.6% → 85.3%

平成29年から令和6年まで、8年間まったく変わっていません。

民営保育所・認定こども園(各年4月1日)
  • 施設数6か所 → 9か所
  • 収容定員645人 → 705人
  • 入所児童591人 → 719人
  • 収容率91.6% → 102.0%

3か所増え、児童は128人増えました。それでも定員を超えています。

この8年で保育を必要とする子は127人増えました。その増加分は、すべて民営が受けています。市営は施設数も定員も1つも増やしていません。

そしてこれから、市営はさらに減ります。市内にひとつだけの公立幼稚園である富谷幼稚園(利用定員90名)は民営化され、社会福祉法人仙台ぱれっと福祉会が認定こども園(利用定員120人・認可定員138人)を開く予定です。隣の市立富谷保育所は、令和10年3月をもって閉所する予定と広報とみや令和8年9月号は書いています。市営保育所は4か所から3か所になります。

令和8年第3回定例会(9月7日開会)には、市立幼稚園の授業料徴収条例・預かり保育条例・運営審議会条例を廃止する議案3本が出ています。富谷市にひとつだけの公立幼稚園が民営化へで詳しく書きました。

この数字がつながる話

市議の一般質問121件のうち、子育てと教育が33件で最多でした。学区の再編は令和7年12月に「時期尚早」として見送られています。保護者アンケートは望む39%・望まない38%と割れ、児童生徒は84%が現状を望むと答えていました。

学区再編はなぜ見送られたのか 公立幼稚園の民営化 一般質問121件の内訳 子育て支援の手続き

この集計で言えないこと

  • 学区ごとの将来の児童数は、市が推計を公表していません。この記事の「6学年分」は、いまの0〜4歳がそのまま同じ学区に住み続けると仮定した掛け算です。明石台十丁目のような新しい分譲地がこれからも出れば、数字は変わります。
  • 3つの行政区は学区別の集計から外しました。熊谷、グリーンヒル、明石台第六(六丁目)の3つは、通学区域が丁目のなかの番地で分かれるか、規則の字名と行政区名が対応しないためです。この3区の0〜4歳は15人、市全体の0.8%です。
  • 幼稚園の在園者数は「市内の幼稚園に通う子」の数です。市外から通う子を含み、市内の子が市外の園に通う分は含みません。就園率の分母も県の調査による人口で、住民基本台帳の数字とは一致しません。
  • 幼稚園と保育所は、別々の調査の数字です。幼稚園は県の学校基本調査、保育所は市の子育て支援課によるもので、幼保連携型の認定こども園がどちらに数えられるかも違います。足し合わせて就学前の子の総数を出すことはできません。この記事で言えるのは、両者が逆向きに動いているという方向だけです。
  • 保育所の数字は4月1日現在です。年度途中の入所や、認可外の施設は含まれていません。待機児童の有無も、この表からは分かりません。
  • 出生数は令和4年までしか公表されていません。市の統計書では平成21年の494人がピークで令和4年は292人、自然増減は令和2年に初めてマイナスに転じています。令和5年以降は次の更新を待つ必要があります。
  • 校舎面積は面積だけで、教室が足りているかどうかは別の話です。普通教室の数や特別支援学級の必要数は、この統計には載っていません。

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使った一次資料

富谷の高齢化と介護 富谷の財政 富谷のハザード 議会データ

写真:ToshiJapon / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
成田小学校。ページで小学校区ごとの1学年あたりの子どもの数を数えています。
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