高齢化率は低い。
でも、追い越された。

富谷市の65歳以上の割合は23.3%で、宮城県内でも低いほうです。ところが中身を見ると、様子が違います。65〜74歳はこの8年でほとんど増えていないのに、75歳以上は3,994人から6,024人へ1.5倍になりました。そして令和6年度末、75歳以上が65〜74歳を初めて上回りました。差は12人です。

市の公表値から集計
  • 75歳以上(令和6年度末)6,024人

    平成29年度は3,994人。8年で1.5倍

  • 65〜74歳(令和6年度末)6,012人

    平成29年度は6,022人。8年でほぼ横ばい

  • 要介護・要支援の認定者1,809人

    8年で403人増。認定率は14.0%から15.0%へ

  • 介護給付費(令和6年度)28.1億円

    8年で6億3,562万円増(+29.2%)

令和6年度末

75歳以上が、65〜74歳を追い越した

介護保険の第1号被保険者は、65〜74歳と75歳以上に分けて公表されています。8年分を並べると、2本の線がまったく違う動きをしていることが分かります。

65〜74歳と75歳以上

65〜74歳は6,022人から6,012人でほぼ横ばい、75歳以上は3,994人から6,024人に増え、令和6年度末に追い越した折れ線グラフ
富谷市長寿福祉課「介護保険事業状況」(「データで見る富谷」第10章)から作成/制作:富谷トム

表は横にスクロールできます。

年度人口総数65〜74歳75歳以上第1号被保険者のいる世帯
平成29年度 52,593 6,022 3,994 6,716
平成30年度 52,521 6,114 4,277 6,952
令和元年度 52,404 6,253 4,502 6,746
令和2年度 52,370 6,532 4,626 6,981
令和3年度 52,374 6,595 4,863 7,141
令和4年度 52,215 6,400 5,253 7,292
令和5年度 52,378 6,221 5,659 7,376
令和6年度 52,411 6,012 6,024 7,471

各年度末(3月31日)現在。資料:富谷市長寿福祉課。

65〜74歳は8年で10人しか減っていません。75歳以上は2,030人増えました。市の人口総数はこの間52,593人から52,411人へ、182人減っただけです。総数も前期高齢者も動かないなかで、後期高齢者だけが増えています。

これは1970年代からの宅地開発で、子育て世帯が一度に移り住んできた街の形がそのまま出たものです。一斉に入居した世代が、一斉に75歳を越えています。

指標の限界

「高齢化率」だけを見ていると、これは見えない

住民基本台帳(令和3年と令和7年の12月31日現在)で確かめても、同じことが起きています。

65歳以上の割合
  • 令和3年12月31日21.7%
  • 令和7年12月31日23.3%
  • 4年の動き+1.6ポイント

ゆるやかです。県内でも低いほうで、「若い街」という説明はこの指標では正しい。

75歳以上の割合
  • 令和3年12月31日9.1%
  • 令和7年12月31日12.0%
  • 4年の動き+2.9ポイント

65歳以上の倍近い速さで動いています。4年で75歳以上は1,567人増え、65〜74歳は746人減りました。

住民基本台帳(12月31日現在)による数字で、上の介護保険統計(年度末=3月31日現在)とは基準日が9か月ずれます。数字が一致しないのはそのためです。

高齢化率そのものは、行政区ごとに数えて0.7%から57.3%まで開いていることを示しました。このページで見ているのは、その中身が前期と後期のどちらに寄っているかです。介護保険のサービスを使う人が増えるのは、主に75歳を越えてからです。

8年の実績

認定者は403人増えた。いちばん伸びたのは、いちばん軽い区分

要介護・要支援の認定者は、平成29年度末の1,406人から令和6年度末は1,809人になりました。要介護度ごとに見ると、増え方に差があります。

表は横にスクロールできます。

区分平成29年度末令和6年度末増減増減率
要支援1 119 208 +89 +74.8%
要支援2 170 259 +89 +52.4%
要介護1 296 380 +84 +28.4%
要介護2 307 345 +38 +12.4%
要介護3 206 246 +40 +19.4%
要介護4 166 224 +58 +34.9%
要介護5 142 147 +5 +3.5%
認定者数の合計 1,406 1,809 +403 +28.7%

各年度末現在。資料:富谷市長寿福祉課。

第1号被保険者に対する認定率は14.0%から15.0%へ上がりました。人数が増えただけでなく、割合としても上がっています。

いちばん大きく伸びたのは要支援1で74.8%増、次が要支援2の52.4%増でした。要支援の2区分は合わせて289人から467人へ、8年で1.6倍になっています。認定を受け始める人が増えているという形です。

要介護1〜5のなかでは、要介護4が166人から224人へ34.9%増で最も伸びました。いちばん重い要介護5は142人から147人へ、5人しか増えていません。市の紙おむつ支援の対象は要介護4と5だけで、この2区分の合計は308人から371人になっています。県内11市はすでに要介護3から対象にしており、その差は別の記事にまとめました。

お金の側から見る

給付費は6億3,562万円増えた。その半分は施設

介護保険から支払われた給付費は、平成29年度の21億7,678万円から令和6年度は28億1,240万円になりました。増えた6億3,562万円の内訳を見ると、どこで何が起きているかが分かります。

表は横にスクロールできます。

区分平成29年度令和6年度増減増減率
居宅介護サービス給付費 82,518万円 109,156万円 +26,638万円 +32.3%
施設介護サービス給付費 66,603万円 100,542万円 +33,939万円 +51.0%
地域密着型介護サービス給付費 37,767万円 34,532万円 −3,235万円 −8.6%
居宅介護サービス計画給付費 11,010万円 13,663万円 +2,653万円 +24.1%
特定入所者介護サービス費 9,564万円 8,991万円 −572万円 −6.0%
高額介護サービス費 4,198万円 6,051万円 +1,853万円 +44.1%
介護予防サービス給付費 4,514万円 5,723万円 +1,208万円 +26.8%
合計(上記以外を含む) 217,678万円 281,241万円 +63,562万円 +29.2%

各年度末現在。資料:富谷市長寿福祉課。金額は万円未満を切り捨てて表示しています。

施設介護サービス給付費の増加は3億3,939万円。合計の増加6億3,562万円の53.4%にあたります。次が居宅介護サービス給付費の2億6,638万円(41.9%)です。

反対に地域密着型介護サービス給付費は3,235万円減りました(−8.6%)。小規模多機能や認知症グループホームなど、住み慣れた地域で使うサービスの区分です。この8年で、給付は施設のほうへ寄ってきました。

第1号被保険者1人当たりの給付費は217,331円から233,666円へ、7.5%増えました。被保険者そのものが2,020人増えているので、総額の伸び29.2%ほどではありません。1人当たりで見ると、まだ緩やかです。

保険料の調定額は7億113万円から8億4,508万円へ増えました(+20.5%)。収納率は98.4%から99.4%で、8年間ほとんど変わっていません。

どこで起きているか

あけの平の3つの丁目だけで、4年に288人増えた

行政区ごとの年齢別人口から、75歳以上がどこで増えたかを数えました。増加が大きい順です。

75歳以上が、4年でどれだけ増えたか

あけの平一・二・三丁目で75歳以上が4年に288人増えたことを示す棒グラフ
富谷市「行政区毎年齢別人口(5歳階級別)」令和3年・令和7年12月31日現在から集計/制作:富谷トム

表は横にスクロールできます。

行政区令和3年令和7年増加増加率
あけの平二丁目 143 244 +101 +71%
あけの平三丁目 169 263 +94 +56%
あけの平一丁目 123 216 +93 +76%
富ケ丘北部(三丁目) 209 298 +89 +43%
日吉台二丁目 126 208 +82 +65%
東向陽台三丁目 210 277 +67 +32%
鷹乃杜(一丁目) 136 199 +63 +46%
明石台第一(一丁目) 103 165 +62 +60%

各年12月31日現在。人口200人以上の行政区が対象です。

あけの平は昭和50年代の分譲地です。一丁目・二丁目・三丁目の3つを合わせると、75歳以上は4年で435人から723人へ288人増えました。いずれも4年で5割から8割の増加です。

表は横にスクロールできます。

行政区総人口75歳以上75歳以上の割合65歳以上の割合
富ケ丘北部(三丁目) 1,034 298 28.8% 42.8%
志戸田 245 70 28.6% 46.5%
富ケ丘南部(二丁目) 1,383 355 25.7% 36.7%
東向陽台三丁目 1,107 277 25.0% 37.9%
鷹乃杜(一丁目) 800 199 24.9% 40.4%
東向陽台第一(二丁目) 865 200 23.1% 35.5%
富ケ丘北部(四丁目) 927 212 22.9% 38.2%
とちの木(二丁目) 547 122 22.3% 51.9%
市全体52,4856,31812.0%23.3%

令和7年12月31日現在。人口200人以上の行政区のうち、75歳以上の割合が高い順です。

富ケ丘北部(三丁目)は住民1,034人のうち298人(28.8%)が75歳以上で、市全体の12.0%の2倍以上です。とちの木(二丁目)は65歳以上が51.9%と過半数を超えています。

同じ市の、同じ4年

子どもが866人減り、75歳以上が1,567人増えた

同じ2冊のExcelから、子どもの側も数えました。同じ市の同じ4年に、両方が起きています。

15歳未満
  • 令和3年12月31日8,200人
  • 令和7年12月31日7,334人
  • 4年の動き−866人

1学年あたりでは、10〜14歳601人、5〜9歳482人、0〜4歳384人の下り階段になっています。

75歳以上
  • 令和3年12月31日4,751人
  • 令和7年12月31日6,318人
  • 4年の動き+1,567人

65〜74歳は同じ4年で746人減っています。増えているのは後期高齢者だけです。

あけの平小学校区の0〜4歳は155人、1学年あたり31人です。そのあけの平で、75歳以上は4年に288人増えました。同じ地区で、子どもの5学年分より多い人数が、4年で75歳を越えています。

総人口が動かないので、市全体の数字を見ているだけでは気づきません。学区ごとの子どもの数は富谷の子どもの数にまとめました。

この集計で言えないこと

  • 介護保険統計と行政区別人口は、基準日が9か月ずれます。前者は各年度末(3月31日)、後者は12月31日現在です。75歳以上が令和6年度末に6,024人、令和7年12月31日に6,318人となっているのは、この間に9か月あるためで、矛盾ではありません。
  • 行政区ごとの要介護認定者数は公表されていません。地区別に示したのは人口だけです。どこで介護の必要が高いかは、この数字からは分かりません。
  • 給付費は保険から支払われた額で、利用者の自己負担は含みません。また、施設給付費が伸びた理由が施設の増設によるものか、入所者の重度化によるものかは、この統計からは区別できません。
  • 地域密着型が減ったことの評価は、この数字だけではできません。施設へ移った結果とも、事業所の休止とも読めます。市の介護保険事業計画と突き合わせる必要があります。
  • 要支援の伸びが大きいことが、必要が増えたのか申請が増えたのかは分かりません。制度の周知が進んだ結果とも、実際に支援を要する人が増えた結果とも読めます。認定率の分母である第1号被保険者も8年で2,020人増えています。
  • 令和7年度の介護保険統計はまだ出ていません。このページは令和6年度末までです。
  • 1人当たり給付費は第1号被保険者で割った概算です。実際にサービスを使うのは認定を受けた人だけで、認定者1人当たりの額とは違います。

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使った一次資料

富谷の子どもの数 行政区別の高齢化率 140床の総合病院 介護保険の申請 富谷の財政

写真:cora_cola 茶々丸 / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)
富谷市の湯ったり苑。高齢者の外出先のひとつです。介護施設ではありません。
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