介護で使う紙おむつを、市が現物で届ける事業があります。ただし対象は要介護4か5の人だけです。
2026年3月4日の市議会で、浅野直子議員がこの対象を要介護3まで広げるよう求めました。答弁からは、この事業がいま抱えている二つの問題が見えてきます。
いまの制度
若生裕俊市長の答弁によれば、現行制度はこうです。
- 対象は要介護4または5の認定を受けた人のうち、常時紙おむつを使用している人
- 紙おむつ等の介護用品を現物支給(戸別訪問で届ける方式)
- 利用者の自己負担は利用額の1割相当で1回600円
今年度の利用実績(2026年1月末時点)
問題1 対象者の半分しか使っていない
市長は事業の課題として、はっきりこう述べています。「利用率が対象者の5割程度にとどまっている」。そのうえで「事業の広報周知を強化し、利用の促進を図ることが必要」としました。
つまり、いま対象になっている要介護4・5の人のうち、およそ半分はこの支援を受けていません。制度はあるのに届いていない、ということです。対象を広げる前に、まず知られていないという問題があります。
問題2 県内では11市がすでに要介護3から
ここが今回いちばんはっきりした事実です。市長答弁によれば、宮城県内では11市が要介護3を対象に支援を行っています。
ただし方式が違います。県内の多くはチケット配布方式であるのに対し、富谷市は戸別訪問で届ける現物給付方式です。手厚い代わりに、対象を広げるとコストも増えやすい形といえます。
市はどう答えたか
市長は拡充の課題として、高齢化の進展で要介護4・5の対象者自体が増える見込みであり、対象拡大のための財源確保が課題だと述べました。
そのうえで、要介護3の人は紙おむつの介助が多くなる傾向にあることと、県内11市の状況を挙げ、「本市においても今後、事業の拡充を含め、支援の在り方を検討してまいります」と答えています。
「検討する」であって「実施する」ではありません。ただし、市長が他市の実施状況を自ら挙げた点は、単なる一般論の答弁とは重みが違います。
これから何を見るか
- 周知の強化が実際に行われるか。利用率5割という数字が次年度どう動くかが、最も分かりやすい指標です。
- 要介護3への拡大が予算に出るか。当初予算は2月の定例会で審議されます。
- 現物給付方式を維持するか。対象を広げる際、チケット方式へ変えるかどうかは、受け取る側の負担感に直結します。
一次資料
数値と発言はすべて会議録から引用しています。独自推計は含みません。