実際の避難の判断は、市の発表と気象庁の情報を最優先にしてください。
富谷市は2026年9月7日、防災・消防のページに「レベル5大雨特別警報が発表された時に取るべき行動及び車の運転について」という告知を出しました。
市のページに書かれているのは3行と、気象庁へのリンク1本です。肝心の中身は、リンクの先にあるチラシ2点にしか書かれていません。読むべきことを、こちらに書き出します。
レベル5は「これから逃げてください」ではない
チラシの1行目がすべてです。
すでに安全な避難ができず、命が危険な状況です
「レベル5大雨特別警報が発表されたときにとるべき行動」(内閣府・警察庁・消防庁・国土交通省・気象庁)
レベル5は避難を呼びかける合図ではありません。避難する時間はもう終わっている、という意味です。国が示す行動も、外へ出ることではありません。
| レベル5が出たとき | 内容 |
|---|---|
| むやみに移動しない | 今いる場所よりも安全な場所へ移動して身の安全を確保する |
| 車で動かない | 浸水した場所での車移動は立ち往生し水没するおそれがある |
| 水に近づかない | 河川、用水路、冠水した箇所へ絶対に近づかない |
| 低い場所に注意 | 地下施設、アンダーパス、低地は短時間で浸水する危険がある |
「今いる場所よりも安全な場所へ」とは、多くの場合建物の上の階です。富谷市のハザードマップで整理したとおり、浸水の深さが3mを超えると2階の床が浸かります。自宅が何mの想定区域にあるかで、上へ逃げて足りるかどうかが変わります。
本当の期限は、レベル4
チラシはもうひとつ、はっきり書いています。
市町村が発令する警戒レベル4避難指示までに必ず避難しましょう!
避難の期限はレベル4です。レベル5は期限ではなく、期限を過ぎたという通知にあたります。富谷市の警戒レベルの区分は次のとおりです。
| レベル | とるべき行動 |
|---|---|
| 5 | すでに災害が発生または切迫。命の危険があり、直ちに安全を確保する |
| 4 | 全員避難。危険な場所から全員が避難する |
| 3 | 高齢者等は避難。避難に時間を要する人は避難を開始する |
| 2 | ハザードマップ等で自らの避難行動を確認する |
| 1 | 災害への心構えを高める |
車は30cmで動かなくなる
もう1枚のチラシは、車の話だけで1ページを使っています。挙げられている数字が具体的です。
| 水深 | 車に起きること |
|---|---|
| 約30cm | 走行不能になる場合がある |
| ドアの下端にかかる | 車外の水圧で、内側からドアを開けるのが難しくなる |
| 床面を超える | 電気装置が損傷し、自動スライドドアやパワーウインドウが動かなくなるおそれ |
| ドアの高さの半分を超える | 内側からほぼ開けられなくなるおそれ |
| タイヤが完全に水没 | 車体が浮いて移動が困難になるおそれ |
あわせて、マフラーや吸気口から水が入るとエンジンが止まり、再始動しなくなるおそれがあるとしています。吸気口については「速度が大きいと浸水しやすくなる」という注記も付いています。急いで走り抜けようとするほど危ないということです。
ここが富谷市のハザードマップと重なります。浸水想定区域の深さ区分で、いちばん浅い色は「0.5m未満」で、目安はくるぶし〜ひざ下です。30cmはこの区分の中に収まります。地図でいちばん薄い色が塗られた場所でも、車は動かなくなりうるということになります。
チラシは、万が一ドアが開かなくなった場合の備えとして脱出用ハンマーをすぐ使える位置に置くよう求めています。ただし合わせガラスは脱出用ハンマーでは割れません。車種によって、どの窓が割れるかは違います。
なぜ今このチラシが出たのか
気象庁の報道発表は2026年8月26日付で、令和8年8月千葉豪雨を踏まえて作成したとしています。作ったのは内閣府(防災担当)、警察庁、消防庁、国土交通省、気象庁の5府省庁です。富谷市が自分の判断で新しい対策を出したものではなく、国のチラシを市が周知した形です。
富谷で先に確かめておくこと
チラシは最後に「自治体が公表しているハザードマップや防災情報を確認しましょう」と書いています。富谷市の場合、確かめる先は次のとおりです。
- 自宅が浸水想定区域か。富谷市・大和町・大郷町・大衡村の4自治体が共同運用する「富谷・黒川地区わがまちマップ」で見られます。ハザードマップの見方に、深さの色が何を意味するかをまとめました。
- 逃げる先が、そのとき使えるか。富谷市の指定避難所28か所のうち、1か所は洪水・土砂災害とも使用不可、2か所は屋内運動場だけ使用不可です。指定避難所一覧に地区ごとに並べています。
- 通信が途絶えたらどうするか。地図はインターネットがないと開けません。晴れている日に自宅周辺のスクリーンショットを撮るか、紙のハザードマップを手元に置いておくほうが確実です。