富谷市長の1期4年は約7124万円 供託金は100万円

記者:富谷トム・・最終更新 2026年9月20日・読了目安 5分
富谷市民交流ホールの回廊。曲面の手すりに沿って展示のモニターが並ぶ
富谷市民交流ホール。市長選に立候補するために必要な費用を扱った記事です。この施設が会場になるという意味ではありません。/写真:ToshiJapon / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)
この記事の目次

市長選の日程・前回の結果・争点は特設ページ「富谷市長選2027」にまとめています。

富谷市長選挙に立候補するには何が必要で、当選すれば何を受け取るのか。条例、公職選挙法、過去の選挙結果から整理しました。金額は2026年8月17日時点の条例によります。

2019年1月の富谷市長選挙は、無投票でした。立候補したのは現職1人だけです。2023年1月は2人の争いとなりましたが、投票率は42.22%と過去最低を記録しました。

次の富谷市長選挙は2027年1月ごろの見込みです(任期満了は2027年2月10日)。

富谷市(町)長選挙 1つの椅子に何人が挑んだか

当選(定数1)落選
  • 2007年投票率51.65%当選1落選23人
  • 2011年投票率51.32%当選1落選12人
  • 2015年投票率48.77%当選1落選12人
  • 2019年無投票当選11人
  • 2023年投票率42.22%当選1落選12人
棒の全体が立候補者数、濃い部分が当選(=定数1)です。2019年は挑む人が誰もおらず、現職1人だけで無投票となりました。投票率は51.65%、51.32%、48.77%、(無投票)、42.22%と下がり続けています。出所:選挙ドットコム掲載の各選挙結果

前回の当選ラインは1万2900票

2023年1月29日の結果です。

候補 得票 結果
若生ひろとし(無所属・現職・58歳) 1万2900票 当選(3期目)
荒谷さとし(無所属・新人・61歳・行政書士) 4618票 落選

得票の合計は1万7518票。投票率42.22%ですから、有権者のおよそ6割は投票所へ行っていません。

なお荒谷さとし氏は、この7か月後の2023年8月、富谷市議会議員選挙に立候補し、無投票で当選しています。いずれも届出は「荒谷さとし(アラヤ サトシ)」、職業は行政書士、年齢は市長選が61歳、市議選が62歳です。市長選に敗れても、道が閉ざされるわけではありません。

費用は100万円から

供託金100万円は、1752票で戻る

市長選挙の供託金は100万円です(公職選挙法第92条)。市議選の30万円より高いものの、一定の票を得れば全額返還されます。

没収されるのは「有効投票総数の10分の1」に届かなかった場合です。2023年の得票合計1万7518票で計算すると1752票。落選した荒谷さとし氏は4618票を得ており、供託金は返還されています。

車もビラもポスターも公費

富谷市の公費負担条例は、市議選と市長選の両方を対象にしています。供託金が没収されない候補者は、次のものを無料で使えます。

項目 公費で負担される上限
選挙運動用自動車 1日6万4500円。選挙期間7日で45万1500円まで
燃料・運転手 燃料は1日7700円、運転手は1日1万2500円まで
選挙運動用ビラ 1枚8円38銭まで
選挙運動用ポスター 「586円88銭 × ポスター掲示場の数 + 31万6250円」の範囲

報酬は月83万6000円、退職手当は1期1765万円

市長の給料月額は条例の別表で定められています。

職名 給料月額
市長 83万6000円
副市長 75万7000円
教育長 65万3000円

期末手当について、条例は「期末手当基礎額は,給料月額にその額の100分の15を乗じて得た額を加算した額とし,期末手当基礎額に乗ずる割合は100分の175とする」と定めています(特別職の職員で常勤のものの給与及び旅費に関する条例 第4条第2項)。83万6000円 × 1.15 で96万1400円が基礎額、これに1.75を掛けた1回168万2450円が支給額です。

退職手当を抜くと、実像を見誤る

市長の報酬を考えるとき、外せないのが退職手当です。

富谷市が公表している資料は、退職手当の算定式を「給料月額 × 在職月数 × 支給率」と示し、市長の支給率を100分の44としています。1期は4年、48か月ですから、

83万6000円 × 48か月 × 0.44 = 1765万6320円

これが1期ごとに支給されます。勤続年数に応じて積み上がるのではなく、4年務めるごとに約1765万円が支払われる仕組みです。

富谷市長の報酬(試算)

給料1003万2000円

83万6000円 × 12か月

期末手当336万4900円

168万2450円 × 年2回

年収1339万6900円

退職手当を除く

退職手当1765万6320円

1期4年ごと。年あたり441万4080円

退職手当を含む年あたり1781万980円

1期4年で約7124万円

期末手当の支給回数は条例に明記がないため、年2回として計算した試算です。給料月額、計算式、退職手当の支給率は条例および市の公表資料に記された確定値です。1期4年を務めた場合の総額は、給料・期末手当・退職手当をあわせておよそ7124万円になります。

選ぶ機会がなかった年がある

2019年、富谷市の有権者は市長を選びませんでした。立候補が1人だったからです。

市長は市の予算を編成し、職員の人事を決め、条例や計画を議会に提案します。直近5回のうち1回は、その職が選挙を経ずに決まりました。

2023年は選挙が行われたものの、投票率は42.22%と過去最低でした。若生市長自身が当時「重く受け止める」と述べています。

あわせて知っておくこと

  1. 公費でまかなえない費用がある 事務所、電話、人件費、後援会活動は公費負担の対象外です。
  2. 市長は兼業できない 地方自治法により、市に対して請負をする者などは市長になれません。事実上、専業となります。市議とは前提が異なります。
  3. 退職手当は組合を通じて支給される 富谷市は宮城県市町村職員退職手当組合に加入しており、支給率は組合の規約によります。

挑む人がいなければ、選挙は起きない

2019年に起きたのは、そういうことでした。市民が無関心だったからではありません。選択肢が1つしかなかったからです。

条件を並べれば、こうなります。

  • 供託金100万円は1752票で戻る前回は落選した候補も返還を受けています。
  • 選挙カーもビラもポスターも公費条例の上限まで市が負担します。
  • 報酬は1期4年でおよそ7124万円退職手当1765万6320円を含みます。
  • 前回の対抗馬は4618票を得た組織を持たない新人でも、それだけの票が集まりました。

市長選は、市議選より重い決断です。専業になり、生活が変わります。それでも、富谷をどうしたいかという構想を持っている人がいるなら、それを市民の前に置いてほしい。対抗馬が立つこと自体が、市政に緊張感を生みます。

次の富谷市長選挙は2027年1月ごろの見込みです。任期満了は2027年2月10日、実際の期日は選挙管理委員会が告示します。準備の時間はまだあります。

一次資料

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