市長選の日程・前回の結果・争点は特設ページ「富谷市長選2027」にまとめています。
富谷市長選挙に立候補するには何が必要で、当選すれば何を受け取るのか。条例、公職選挙法、過去の選挙結果から整理しました。金額は2026年8月17日時点の条例によります。
2019年1月の富谷市長選挙は、無投票でした。立候補したのは現職1人だけです。2023年1月は2人の争いとなりましたが、投票率は42.22%と過去最低を記録しました。
次の富谷市長選挙は2027年1月ごろの見込みです(任期満了は2027年2月10日)。
富谷市(町)長選挙 1つの椅子に何人が挑んだか
前回の当選ラインは1万2900票
2023年1月29日の結果です。
| 候補 | 得票 | 結果 |
|---|---|---|
| 若生ひろとし(無所属・現職・58歳) | 1万2900票 | 当選(3期目) |
| 荒谷さとし(無所属・新人・61歳・行政書士) | 4618票 | 落選 |
得票の合計は1万7518票。投票率42.22%ですから、有権者のおよそ6割は投票所へ行っていません。
なお荒谷さとし氏は、この7か月後の2023年8月、富谷市議会議員選挙に立候補し、無投票で当選しています。いずれも届出は「荒谷さとし(アラヤ サトシ)」、職業は行政書士、年齢は市長選が61歳、市議選が62歳です。市長選に敗れても、道が閉ざされるわけではありません。
費用は100万円から
供託金100万円は、1752票で戻る
市長選挙の供託金は100万円です(公職選挙法第92条)。市議選の30万円より高いものの、一定の票を得れば全額返還されます。
没収されるのは「有効投票総数の10分の1」に届かなかった場合です。2023年の得票合計1万7518票で計算すると1752票。落選した荒谷さとし氏は4618票を得ており、供託金は返還されています。
車もビラもポスターも公費
富谷市の公費負担条例は、市議選と市長選の両方を対象にしています。供託金が没収されない候補者は、次のものを無料で使えます。
| 項目 | 公費で負担される上限 |
|---|---|
| 選挙運動用自動車 | 1日6万4500円。選挙期間7日で45万1500円まで |
| 燃料・運転手 | 燃料は1日7700円、運転手は1日1万2500円まで |
| 選挙運動用ビラ | 1枚8円38銭まで |
| 選挙運動用ポスター | 「586円88銭 × ポスター掲示場の数 + 31万6250円」の範囲 |
報酬は月83万6000円、退職手当は1期1765万円
市長の給料月額は条例の別表で定められています。
| 職名 | 給料月額 |
|---|---|
| 市長 | 83万6000円 |
| 副市長 | 75万7000円 |
| 教育長 | 65万3000円 |
期末手当について、条例は「期末手当基礎額は,給料月額にその額の100分の15を乗じて得た額を加算した額とし,期末手当基礎額に乗ずる割合は100分の175とする」と定めています(特別職の職員で常勤のものの給与及び旅費に関する条例 第4条第2項)。83万6000円 × 1.15 で96万1400円が基礎額、これに1.75を掛けた1回168万2450円が支給額です。
退職手当を抜くと、実像を見誤る
市長の報酬を考えるとき、外せないのが退職手当です。
富谷市が公表している資料は、退職手当の算定式を「給料月額 × 在職月数 × 支給率」と示し、市長の支給率を100分の44としています。1期は4年、48か月ですから、
83万6000円 × 48か月 × 0.44 = 1765万6320円
これが1期ごとに支給されます。勤続年数に応じて積み上がるのではなく、4年務めるごとに約1765万円が支払われる仕組みです。
富谷市長の報酬(試算)
83万6000円 × 12か月
168万2450円 × 年2回
退職手当を除く
1期4年ごと。年あたり441万4080円
1期4年で約7124万円
選ぶ機会がなかった年がある
2019年、富谷市の有権者は市長を選びませんでした。立候補が1人だったからです。
市長は市の予算を編成し、職員の人事を決め、条例や計画を議会に提案します。直近5回のうち1回は、その職が選挙を経ずに決まりました。
2023年は選挙が行われたものの、投票率は42.22%と過去最低でした。若生市長自身が当時「重く受け止める」と述べています。
あわせて知っておくこと
- 公費でまかなえない費用がある 事務所、電話、人件費、後援会活動は公費負担の対象外です。
- 市長は兼業できない 地方自治法により、市に対して請負をする者などは市長になれません。事実上、専業となります。市議とは前提が異なります。
- 退職手当は組合を通じて支給される 富谷市は宮城県市町村職員退職手当組合に加入しており、支給率は組合の規約によります。
挑む人がいなければ、選挙は起きない
2019年に起きたのは、そういうことでした。市民が無関心だったからではありません。選択肢が1つしかなかったからです。
条件を並べれば、こうなります。
- 供託金100万円は1752票で戻る前回は落選した候補も返還を受けています。
- 選挙カーもビラもポスターも公費条例の上限まで市が負担します。
- 報酬は1期4年でおよそ7124万円退職手当1765万6320円を含みます。
- 前回の対抗馬は4618票を得た組織を持たない新人でも、それだけの票が集まりました。
市長選は、市議選より重い決断です。専業になり、生活が変わります。それでも、富谷をどうしたいかという構想を持っている人がいるなら、それを市民の前に置いてほしい。対抗馬が立つこと自体が、市政に緊張感を生みます。
次の富谷市長選挙は2027年1月ごろの見込みです。任期満了は2027年2月10日、実際の期日は選挙管理委員会が告示します。準備の時間はまだあります。