富谷のブルーベリーは水田の転作から始まった 1983年の一歩

記者:富谷トム・・最終更新 2026年9月21日・読了目安 4分
緑色のボウルに盛られた摘みたてのブルーベリー
ブルーベリーの関連イメージ。富谷市産の実物を撮影したものではありません/写真:鳩に憧れるしまりす/ぱくたそ
この記事の目次

富谷のブルーベリーは、水田の転作として1983年に始まりました。米をやめた田んぼから始まった

市の説明では、富谷産ブルーベリーは水田の転作として1983年から栽培が始まりました。

1983年という年は、日本の農業にとって特別な時期にあたります。米が余り、国が生産調整を進めていた時代です。田んぼで米を作らないなら何を作るのか。その問いに、富谷では果樹という答えを出した人たちがいた、ということになります。

転作という言葉は本来、後ろ向きな響きを持ちます。作らされていたものを作れなくなった、という話だからです。それが40年を超えて市の看板になったところが、この土地の面白さです。

農薬を使わない

市は「安全安心を最優先して栽培」しているとして、富谷産ブルーベリーが宮城県から「農薬不使用・化学肥料節減栽培農作物」として認証されていることを挙げています。

市の取材記事では、富谷市ブルーベリー生産組合の組合長・高橋敏雄さんが、農薬不使用で化学肥料も節減した「安心安全なブランド」だと語っています。品種は20種類ほど。収穫は朝4時から始まり、すべて手作業で、7時30分くらいには実の選別を終えるといいます。

手で摘み、朝のうちに選別を終える。機械化できない作業を、暑くなる前の時間に片づける段取りです。ブルーベリーは傷みやすく、粒ごとに熟し方が違うため、まとめて機械で刈り取るわけにいきません。

2016年、各国首脳の前へ

市の特産品のページには、さらりと次のように書かれています。2016年5月に三重県志摩市で開かれた先進国首脳会議、いわゆるG7伊勢志摩サミットで、各国首脳へのおもてなしの場にブルーベリージュースが振る舞われた、と。

水田の転作として始まった果物が、33年後に国際会議の席に並んだことになります。人口5万人ほどの市の農産物が、その日たまたま世界の目の前にあった。地方の特産品にとって、これ以上の紹介はなかなかありません。

学校と保育所にも植えてある

富谷のブルーベリーは、売り物としてだけ育てられているわけではありません。市は、市内の学校や保育所にブルーベリーを植栽し、摘み取り体験や食育に活用していると説明しています。

校庭や園庭に実のなる木があり、子どもが自分で摘んで食べる。特産品を「授業」として体験させる仕組みが、地味ですが効いています。富谷で育った子どもにとって、ブルーベリーは店で買うものである前に、手が届く木になっているものです。

17回目のスイーツフェア

収穫期に合わせて、市内の菓子店が一斉にブルーベリーを使う催しがあります。とみやブルーベリースイーツフェアです。2026年は6月25日から7月15日まで開かれ、17回目となりました。市制施行10周年の記念事業にも位置づけられています。

参加したのは14店舗のスイーツ店・ベーカリーと、髙橋ブルーベリーつみとり園です。市の告知に挙げられた店は次のとおりです。

2026年の参加店
菓子処いさわ屋/dear honey lover,/mamemaru+/もしもしcafé/餅よし/ノワイエ/パティスリーレクリア/CHARMER/お菓子のアトリエ・ムー/ケーキハウス白いオルゴール/MonaMona富谷成田店/石窯パン工房パンセ富谷本店/NAKAO富谷店/ユートミヤ・スイーツステーション

仕掛けはスタンプラリーです。税込1,000円以上の購入で1店舗につき1スタンプ、5つ以上集めると商品券が当たり、全店をまわるとコンプリート賞として焼き菓子と富谷ブルーベリージャムが贈られます。菓子店を1軒ずつ回らせる設計で、フェアの期間中に市内を歩かせる仕組みになっています。

市は「スイーツを軸にしたまちづくり」を掲げ、ブルーベリーのほかシャインマスカット、イチジク、はちみつなどの食材を使った菓子で生産者と消費者をつなぐ取り組みを「とみやスイーツ」と呼んでいます。ブルーベリーのフェアは15年続き、秋のスイーツフェアは2020年から加わりました。

ついでに知っておくと面白い2つ

市の特産品のページには、ブルーベリーの隣に2つ、変わったものが並んでいます。

ひとつはとみやはちみつです。市の説明によると、市役所の屋上で採蜜しています。富谷のさまざまな花の蜜が混ざった「百花蜜」で、熟成された甘さが自慢だとしています。役所の屋上に巣箱がある自治体は、そう多くありません。

もうひとつは日本酒の鳳陽です。寛文元年(1661年)創業で、宮城県内最古の歴史を誇る酒造だと市は書いています。江戸時代前期、4代将軍徳川家綱の頃です。南部杜氏による手造りで「スッキリとした中にも味がある」と評されています。

1661年の酒蔵、1983年の転作、2016年のサミット、そして市役所の屋上。富谷の特産品は、そろって少し変わった経路をたどってここにあります。

この記事の内容は、市の富谷の特産品、とみやスイーツ、とみやブルーベリースイーツフェア2026(2026年6月20日更新)、とみやスイーツアンバサダーが聞く!ブルーベリー(2020年10月7日更新)から整理しました。

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