贈賄で止まったのは2社 富谷市の指名停止は22か月で県より長い

記者:富谷トム・・最終更新 2026年9月20日・読了目安 5分
富谷市内の道路。コンクリートの構造物をくぐるトンネル状の区間
富谷市内の道路(仙台北部道路、建設中の撮影)。記事が扱うのは市が発注した入札149件で、この道路の工事を指すものではありません。/写真:cora_cola 茶々丸 / Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)
この記事の目次

富谷市の職員が収賄の罪で起訴された事件で、贈賄側とされた建設会社が、市の入札でどれだけ仕事を取っていたのか。市が公表している入札結果を数えました。

起訴されたことと、有罪が確定したことは同じではありません。ここで数えたのは市と県が公表した措置と入札結果で、裁判所の判断ではありません。

市が止めたのは1社ではなく2社だった

富谷市は令和8年6月15日付で、4社を指名停止にしています。うち2社が「贈賄」を措置要件とするものでした。

事業者 指名停止期間 措置要件
安藤建設工業(株) 令和8年6月15日〜令和10年4月14日(22か月) 贈賄
(株)夢ファームTOMIYA 令和8年6月15日〜令和10年4月14日(22か月) 贈賄
スバル興業(株) 令和8年6月15日〜令和8年12月14日(6か月) 独占禁止法違反行為
日本ハイウエイ・サービス(株) 令和8年6月15日〜令和8年12月14日(6か月) 独占禁止法違反行為

下の2社は、首都高速道路の道路清掃業務をめぐる別件です。贈賄の2社は、指名停止の理由文がまったく同じでした。

当該業者の元代表取締役は、代表取締役在任中に、安藤建設工業(株)が所有する不動産の利活用を巡り、富谷市職員に対し便宜を図ってもらう目的で接待を行ったとして、令和8年6月10日に贈賄の疑いで逮捕されたもの。

富谷市 指名停止措置一覧(令和8年6月15日)安藤建設工業(株)および(株)夢ファームTOMIYAの理由欄

安藤建設工業の元代表取締役の行為が、夢ファームTOMIYAの指名停止理由としてもそのまま書かれています。市の資料はどちらも「当該業者の元代表取締役」という書き方で、両社の関係や、同じ人物かどうかまでは説明していません。市は氏名も書いていません。

市の22か月は、県の18か月より長い

宮城県も同じ事件で安藤建設工業を指名停止にしていますが、期間が違います。

発注者 期間 終期
宮城県 18か月 2027年12月28日
富谷市 22か月 2028年4月14日

市のほうが4か月長い措置です。市の職員が絡んだ事案であること、市の指名停止要領の別表2措置要件1(1)「贈賄」が適用されたことによります。

4年で17件。落札件数は3番目に多かった

市は入札日ごとに、件名・落札業者・落札金額を並べたPDFを公表しています。令和5年度から令和8年度(8月20日公表分まで)の149件をすべてテキストにして、落札業者の欄に並ぶ社名を数えました。ページ番号や「一回目不落」「保留(調査)」といった会社名でない表記は除いています。PDFからの読み取りなので、延べ数は概数として読んでください。

落札業者として名前が挙がった延べ数は539件。そのうち安藤建設工業は17件で、社名別では3番目に多い会社でした。全角と半角の表記ゆれをそろえても、この順位は変わりません。

落札件数の多い会社(令和5〜8年度)

  • (有)アメック19件
  • 大川工業(株)18件
  • 安藤建設工業(株)17件
  • (株)阿部コンクリート工業15件
  • (一財)宮城県成人病予防協会10件
  • (株)NIWAYA8件
市が公表した入札結果PDF 149件の「落札業者」欄から集計。落札した社名の延べ数であり、入札への参加回数ではありません。共同企業体や営業所単位の表記はそのまま数えています。

年度で見ると、令和8年度は0件

安藤建設工業(株)の落札件数

  • 令和5年度9件
  • 令和6年度3件
  • 令和7年度5件
  • 令和8年度(8月20日公表分まで)0件
各年度の公表分に含まれる落札業者の延べ数は、令和5年度206件、令和6年度114件、令和7年度158件、令和8年度61件です。

接待があったとされる期間は、市と県の資料によれば2023年10月から2026年3月です。これは令和5年度の後半から令和7年度の末にあたります。落札件数がいちばん多かったのは令和5年度の9件でした。

ただし、落札の多さがそのまま事件と結びつくわけではありません。この会社は市内の土木工事を継続的に受けてきた会社で、落札件数の3位という位置は、指名停止の前から続いていた実績です。起訴内容は入札そのものではなく、市街地活性化事業の区域内での不動産の扱いをめぐる便宜とされています。

どんな仕事を取っていたか

入札結果のPDFは、件名・落札業者・落札金額が別々の欄に並ぶ形式で、件数が一致しない回があります。件名と業者と金額の対応が確実に取れた2件だけ、金額を挙げます。

入札日 件名 落札金額
令和5年8月24日・30日 令和5年度 日吉台調整池ネットフェンス修繕工事 7,600,000円
令和5年12月14日 令和5年度 富谷市資材置場整地業務 1,280,000円

ほかに名前が挙がっているのは、市道の道路改良工事、側溝整備工事、舗装修繕工事、水路修繕工事といった土木の仕事です。市の生活インフラを直接つくる側の会社だったことが、件名から読めます。

もう1社は、入札結果に出てこない

同じ22か月の指名停止を受けた(株)夢ファームTOMIYAは、令和5年度から令和8年度の入札結果149件のなかに、落札業者として1度も出てきません。

指名停止は市の入札に参加する資格に対する措置なので、参加資格を持っていること自体は分かります。ただ、この4年間で市の仕事を落札した記録は見つかりませんでした。

数えていないもの

  • 入札への参加回数は分かりません。公表されているのは落札業者だけで、入札に参加して落札しなかった会社の名前は載っていません。
  • 落札金額の合計は出していません。PDFの欄で件名・業者・金額の件数が一致しない回があり、対応を確実に取れないためです。
  • 随意契約は含みません。入札結果として公表されるのは競争入札などで、随意契約の実績は別です。
  • 令和8年度に落札がない理由は分かりません。指名停止は6月15日からですが、4月と5月の公表分にも名前がありません。入札がなかったのか、参加して落札できなかったのかは、公表資料からは判断できません。
  • 裁判の結果はまだ出ていません。起訴は2026年7月1日です。

使った一次資料と、数え方

指名停止の内容は、市が公表した「指名停止措置一覧」(令和8年6月15日)です。PDFの表は事業者名・期間・措置要件・理由が横に並ぶ形式で、行の対応を取り違えないよう画像に変換して目視で照合しました。

落札件数は、市の入札結果ページから令和5年度〜令和8年度のPDF 149件をすべて取得し、テキストにして「落札業者」欄の社名を数えたものです。「一回目不落」「保留(調査)」「低入調査」など、会社名でない表記は除いています。

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