富谷市議18人は誰も投票で選ばれていない

記者:富谷トム・・最終更新 2026年9月20日・読了目安 4分
投票箱と空の記載台を表す編集イメージ
編集イメージ(AI生成。実在の人物・施設・出来事を示すものではありません)/制作:OpenAI画像生成/とみや新聞編集部
この記事の目次

いま富谷市議会にいる18人の議員は、ひとりも市民の投票で選ばれていません。

不正があったわけではありません。2023年8月27日に予定されていた富谷市議会議員選挙は、立候補者が定数ちょうどだったため、投票そのものが行われなかったのです。

18
人の定数に、18人が立候補 ── 無投票
富谷市議会議員定数条例は定数を18人と定めています。2023年8月27日執行予定の選挙は、届出者数が定数と同数だったため無投票となりました。

無投票とは何が起きることか

公職選挙法では、立候補者が定数を超えなければ投票は行われず、届け出た人がそのまま当選します。有権者は投票所に行きません。

結果として、次のことが起きます。

  • 投票率という数字が存在しない。市民がどれだけ関心を持っていたかを測る手がかりが、そもそも生まれません。
  • 落選者がいない。誰も選ばれなかった側に回らないため、争点が表に出ません。
  • 公約の比較が起きにくい。選ぶ必要がなければ、候補者同士の主張を並べて読む機会も生まれません。

当選した議員に責任があるわけではありません。立候補は自由で、定数を超えなかったのは結果にすぎません。ただ、市民が意思を示す機会が一度失われたことは事実です。

その議会は、この3年で何をしてきたか

集計を更新しました(2026年9月5日) この記事を最初に公開した時点では、収録していた議案は29件でした。その後、令和7年第1回定例会から令和8年第2回定例会までをさかのぼって収録し、163議案・のべ2,715件の議員別記録になったため、集計を差し替えています。市が議員別の賛否を公表しているのは令和7年第1回定例会以降で、この任期の初め(令和5年9月〜令和6年12月)の分は公表されていません。

公開されている議決記録を、議案の側から集計しました。議員別の賛否を収録できている163件の議案のうち、記録のある議員全員の判断が一致した「全会一致」は113件でした。

議決の結果(収録した163件)

  • 全会一致113件
  • 賛否が分かれた・欠席があった50件
公開済みの議員別賛否記録から公表された記録から集計。全議案×全議員のマトリクスは議会データで確認できます。

反対が1票でも入ったのは5議案だけです。いずれも一般会計と国民健康保険特別会計の予算か決算で、投じたのは同じ1人の議員でした。残る45件は欠席や除斥によるもので、賛否が分かれたわけではありません。内訳は富谷市議会の163議案、反対票は5票だけにまとめています。

そして、任期中にこれだけのことが起きた

同じ任期のあいだに、議会は自らの構成員について2度、異例の対応を取っています。

  1. 市議選が無投票に

    定数18に対し立候補18人。投票は行われませんでした。

  2. 小松大介議員に辞職勧告決議

    入浴施設のサウナへのスマートフォン持ち込みが直接の理由と報じられました。本人退席後、全会一致で可決。それ以前にも議長から文書警告を2度受けていました。

  3. 小松氏が辞職

    勧告から約2か月後。地方自治法第126条ただし書きにより議長が許可しました。

  4. 長谷川る美議員に政治倫理審査会を設置

    一般質問で利益関係者に向けた答弁を求めた、議長に虚偽の説明をしたなど計6件を指摘。本人と議長を除く全議員が賛成しました。審査はこれからです。

無投票と全会一致は、別の話

  • 無投票だったから問題が起きた、とは言えません。選挙が行われていれば違ったかどうかを確かめる方法はありません。
  • 全会一致が多いことが、審議していないことを意味するわけでもありません。委員会での修正や、提案前の調整を経て一致することもあります。

言えるのは、市民が議員を選び直す機会が2023年に一度失われ、その任期のあいだに議会が自らの構成員をめぐる問題を2度扱った、という事実の並びだけです。

次の機会は、いつか

議員の任期は4年です(地方自治法第93条)。2023年8月に始まった任期は、2027年8月に満了します。

小松氏の辞職による欠員1人については、公職選挙法第113条第1項第6号により、欠員が定数の6分の1(18人の6分の1で3人)を超えたときに補欠選挙を行うと定められているため、単独の補欠選挙を必ず行う条件には達していません。

つまり次に富谷市民が市議会議員を選ぶ機会は、2027年の任期満了に伴う選挙ということになります。そのとき立候補者が定数を超えるかどうかは、いまはまだ誰にも分かりません。

一次資料

議決の集計は、公開している議員別賛否記録から自動算出しています。記録が追加されれば数値も更新されます。

この記事を共有する